そう教えてもらったのは、赤くてつややかな、美味しそうな実。
「どんな味がするんだろう?」「食べてみたい!」
好奇心旺盛な双子の兄弟、ポッツと、
クゥムは、
その『まあろい実』を探しに出掛けてゆくのでした。
2匹に『まあろい実』のことを教えてくれたのは、このアーベントさんという画家のおじさんです。
彼はよく色んな所に出掛け、一人で絵を描いています。若かりし頃はプライドが高く『孤高の画家』と呼ばれるほどでしたが、現在では自信に満ちた態度は貫いているものの、だいぶ落ち着いてきているようです。
物知りなこのおじさんは、2匹によく色んなことを教えてくれます。2匹にとって彼は、お父さんとおじいちゃんの中間のような存在なのです。
アシナシイモリなのにはっきりとした目があったりと、ちょっぴりミステリアスなおじさんです。
2匹が水辺を歩いていると、水の中につやりと輝く赤くて丸い物が見えました。
「まあろい実だ!」 そう言って潜ってみたのですが、なんとそれは小太鼓のバチだったのです。
探している物ではありませんでしたが、ここで会ったのも何かの縁です。バチの持ち主・ルーパーに誘われ、3匹は水中での演奏会を楽しんだのでした。
実は水の中にも『まあろい実』はあるのですが、音符のような形をしているのです。ルーパーのお気に入りがこの、音を共鳴し合う、とっても不思議な実の実る場所なのです。
彼はいつも小太鼓を下げ、バチを手にし、水の中で音に囲まれて暮らしていました。
ポッツとクゥムがもっと幼かった頃から家族ぐるみのお付き合いをしている、近所の奥さんです。子供が生まれてからは子育てに熱中し、充実した日々を送っているみたいです。
のんびりおっとり、しょんぼり顔のかたつむり・つむりくんは、『まあろい実』をずうっと前に、一度だけ食べたことがあるそうです。
『まあろい実』は、知る人ぞ知る、とっておきの食べ物なのかもしれませんね。
制作時期:2012年3月~2012年6月